旧温海町(きゅうあつみまち)関川(せきさわ)のしな織(お)りは、静岡県(しずおかけん)の葛布(くずふ)、沖縄県(おきなわけん)の芭蕉布(ばしょうふ)と並(なら)ぶ、日本(にほん)三大(さんだい)古代布(こだいぬの)のひとつです。
<説明>
「しな織り」ナレーションより
しな織りの里として知られる鶴岡市関川は、山形と新潟の県境にある小さな村です。
ここしな織りセンターでは、しな織りを村の特産品として製造から実演、販売まで行われています。
しな織りセンターで働く五十嵐 勇喜(いがらし・ゆき)さんです。6月の梅雨の季節になると、しな織りの材料になる、シナの木の 伐採が始まります。
シナの木はすべて植樹して育てたもので、しな織りの材料になる木は、15年から20年ほどかけて育てたものです。
伐採した木の皮を剥いでいきます。しな織りはこの木の皮を使って編みあげていきます。
伐採するのに梅雨の時期を選ぶのは、木の皮が水分を含んでいてはがしやすいためだそうです。
外側の堅い皮をはぎ落とし、白くて柔らかい部分だけにします。
ここからは女性の仕事になります。
一昼夜、水にけておいたシナの木の皮を煮る作業です。
「これを入れないと柔らかく煮れない。」
これは木灰です、木灰を入れて煮ると柔らかくなるそうです。一晩じっくり煮ます。柔らかくなったシナ皮を、薄くはがしていきます。
1枚の皮が、10枚から15枚くらいになるそうです。
近くの川で、石や棒を使い、きれいに洗い流し、さらに柔らかくしていきます。
こぬかと水で2日ほど漬け込みます。
ふたたび、シナ皮をきれいに洗い流します。
この洗う作業は、昔から鼠ヶ関川(ねずがせきがわ)で行なわれていたそうです。
ここからは、糸作りの作業です。
一度干しておいたシナ皮をぬらします。
爪を使い、等間隔に割いていきます。
このあと、再び乾燥させます。
裂いたシナ皮を1本の糸にしていきます。
「これが1本の糸だと・・その手前に穴を開ける。」
1本のシナ皮を真ん中から裂き、もう一本のシナ皮をはさんで、
よりをかけて一本の糸にしていきます。
均等につないでいくのは難しい作業です、熟練を要する技です。
ヘソ玉を濡らし、丈夫な糸にするため撚りをかけていきます。
しな織りに魅せられ、若い世代の人たちもしな織りの技を学びに来ています。
「まぁしな織りをメインにして、・・村つくりをやっていくと。」
以前は生活必需品として使われていたしな織り。今では伝統工芸品として村人に守り受け継がれています。
しな織りは、沖縄県の芭蕉布(ばしょうふ)、静岡県の葛布(くずふ)とならんで、日本三大古代布のひとつと言われています。しな織りは、鶴岡市(旧温海町)関川地区でつくられています。関川地区では、全世帯がしな織り共同組合に加入しており、このしな織りを大切に守っています。
しな織り作りには、22の工程があるといわれている。とても時間と手間がかかる大変な作業。しな織りは新しい世代の人たちにも、新しいものとして受けいられています
撮影年 | 2000年 |
---|---|
著作 | 山形県 |
制作 | (財)山形県生涯学習文化財団 |
時間 | 4分49秒 |
Youtubeの動画が見れない場合は、下の再生ボタンからご覧ください。
再生